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作曲について4(完成までに 其の二) [作曲と演奏について]

作曲について4(完成まで 其の二) 

一応の完成を見た鉛筆書きした朱を和紙に清書したのが次の写真です。筆記用具は赤と黒の筆ペンを使っています。昔の人は当然、墨をすって筆で書いていました。私の師匠もそうしていましたが晩年はノートとサインペンになっていました。私は文楽時代には筆ペンと縦だけの罫線のはいった西洋紙を使っていました。ところが数年前から弾き語りを中心に活動を始めたところ、本当に汚いお話しになって恐縮なのですが、ご存知の方も多いと思いますが浄瑠璃を語ると唾液が飛び散ります。そんな時に西洋紙ですと墨がにじんでしまうのです。それで和紙に代えました。

写真をご覧になって頂きたいと思います。墨で黒く書いた文字が大英博物館の版本そのままの文章です。そしてその横に赤い字で書かれたものが「朱(しゅ)」です。ゐろはにほへと・・・、の略字で書いてあるとお思い下さい。以前にも触れたことがありましたが、義太夫ではこれを音譜として使って来ました。朱は、左手で糸を押さえる場所(ポイント)です。これをツボと言っています。ツボを押さえる位置が微妙にでも違えば当然音も違ってきますから、ツボは非常に、もうもう極めて大切です。微妙にでも違うと師匠から、「お前、悪いツボやなあ」と言って叱られます。その微妙さは繰り返すことと耳を鍛錬することで感覚的に会得していくほかなりません。

なぜ浄瑠璃の場合、譜のことを朱と言うかと申しますと、朱色の墨で書いたからに他ありません。

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清書して、最後に表紙を書きます。そして綴じて出来あがりです。この瞬間は出来のいかんにかかわらず一応の快感を感じます。ほっとしたとでも言いましょうか。

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ここまででおおまかな、私なりの作曲の手順をお話しさせて頂きました。


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